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[HRPニュースファイル508] 日本も「消費税増税」という「財政の崖」を全力で回避せよ!

[HRPニュースファイル508]転載 


日本も「消費税増税」という「財政の崖」を全力で回避せよ!


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2013年1月4日




◇世界が安堵した「財政の崖」回避



米上院と下院は1月1日、緊縮財政によって米景気が悪化する

「財政の崖」の回避策を盛り込んだ法案をそれぞれ

賛成多数で可決しました。



中間層の減税維持と引き換えに富裕層への増税に踏み切り、

国防費など歳出の強制削減の開始は2カ月延期されることになりました。



これにより米国のほぼ全世帯は年末でいったん失効状態となった

減税措置の多くを回復。




急激な財政緊縮で経済に深刻な打撃が及ぶ事態は回避されました。



「財政の壁」が回避されなければ、大増税と大幅な財政緊縮の

両方が同時にアメリカ経済に襲いかかるところでした。



その規模は2013年単年度でも約6000億ドル(約53兆円)と巨額で、

両方とも景気を冷やす効果を持っているため、株価の3割が吹き飛び、ア

メリカのGDPが3~4%下がるとの予測もなされていました。



米国経済が「財政の崖」に落ち込めば、世界経済が受ける影響は

深刻で、「円安株高」が進む「アベノミクス」も一気に

吹き飛ぶところでした。



「財政の崖」が回避されたことによって、NY株が急騰。


 


ヨーロッパや日本市場でも「財政の崖」が避けられたことに

対する前向きな受け止めが広がっており、株高をもたらしています。



野村証券のエコノミストは「最悪の事態が回避され、マーケットでは

取りあえず安心感が先行している」と指摘。また、円安を受けて

輸出企業の来期収益への期待感は強まっており、

「年始の日本株はロケットスタートになる」と予想しています。

(1/4 ブルームバーグ

「日本株は連騰へ、2年5カ月ぶり円安好感-『財政の崖』回避」)


 




◇「合意」の本質は増税



しかし、これで米経済が好転していくかどうか楽観視はできません。




米株価の上昇はオバマ大統領が再選されてから株価が急落し、

NYダウは1万2500ドルあたりの水準まで下がっていたことへの

反動に過ぎません。



「財政の崖」回避に向けた民主党・共和党合意の結果、減税打ち切りの

対象は大統領が提案していた年収25万ドル(約2180万円)以上から、

野党共和党の反発で45万ドル(約3900万円)以上に狭められたものの、

富裕層への課税強化で所得税は20年ぶりに実質増税になります。



ブッシュ前大統領が大型減税による景気対策を行ったのに対して、

「富裕層は応分の負担をすべきだ」と主張するオバマ大統領による

富裕層増税が押し通された形です。



また、富裕層へのキャピタルゲイン(有価証券売却益)や配当への

税率引き上げ(15%⇒20%)や遺産税の引上げ(35%⇒40%)なども

決定されました。



また、富裕層と関係なく、社会保障給与税は、これまでの

2%カットが廃止されます。社会保障税が2%増税したに等しく、

米国民の幅広い層に増税が及びます。



日本でも、昨年4月に年少扶養控除を廃止された結果、勤労者世帯の

消費が落ち込みましたが、米国でも今後、増税による消費の落ち込みが

景気悪化を招くことが懸念されます。


 




◇米軍事費の大幅削減で、日本は自主防衛を迫られる




また、財政支出の大幅削減については2ヶ月間凍結という

「結論先送り」の形になりました。今回の回避が無ければ、

巨額な軍事費と社会保障費の「強制的(自動的)な歳出削減」が

なされるところでした。



今後、来月末に向けて、社会保障費は据え置き、軍事費削減を

優先する民主党と、軍事費は据え置き、社会保障費削減を目指す

共和党との激しい対立が続くことが予測されます。



この成り行きによっては、日本は経済のみならず、安全保障面に

おいても多大な影響を受けることになります。



軍事費の大幅な削減がなされれば、「世界の警察」としての

アメリカのプレゼンスは後退し、日米同盟の抑止力が低下する他、

長期的には「軍事力の米中逆転」に陥る危険性も強まります。



いずれにしても、ある程度の米軍事費の削減は不可避であり、

日本は核武装も含め、「自分の国は自分で守る」自主防衛体制を

進めていくことが急務です。




◇「消費税増税」という「財政の崖」を回避せよ!


 




日本では、既に「増税ラッシュ」が始まっています。



昨年10月から「地球温暖化対策のための税(環境税)」がスタートし、

今年1月から「復興増税」という名の増税(所得税額の2.1%上乗せ(25年間)、

住民税増税等)が始まりました。



そして、消費税は来年2014年4月1日に8%、15年10月1日に10%へと

連続アップする予定です。消費が低迷する中での消費税増税は

「日本経済の自殺」に等しい行為です。



本年2012年の日本のGDPも、復興需要が伸びず、下方修正の見込みですが、

こうしたデフレ不況が続く中で消費税増税を強行すれば、まさしく

日本経済は崖から転落します。



自民党は消費税増税法に賛成した立場上、消費税廃止はしづらい立場に

ありましょうが、安倍首相は勇気を持って消費税増税法を廃止し、

日本の「財政の崖」を全力で回避すべきです。(文責・黒川白雲)


 


 



by sakuya777risou | 2013-01-05 00:00 | 指定なし